スナック店員が教える、覚えておいたらおじさんの機嫌が良くなる歌リスト

酒場人間観察記 スナック店員が教える、覚えておいたらおじさんの機嫌が良くなる歌リスト

会社の飲み会の二次会で、上司に連れられてスナックへ行ったことがある人は意外と多いのではないだろうか。

自分から来たわけではないので、店に入った時点で少しだけアウェー感がある。

知らない常連客がいて、ママがいて、カラオケがあって、何となく独特のルールがありそうな空気もある。

そしてしばらくすると、だいたい誰かがこう言う。

「若いんだから何か歌いなよ」

普段なら好きな曲を入れればいい。でもこういう場だと、何を歌うのが正解なのか分からなくなる。

最近の曲でいいのか。それとも昔の曲の方がいいのか。

スナックで働いていると、そんな光景を何度も見てきた。

その中で思うのは、おじさんたちは別に歌の上手さを求めているわけではないということだ。

ただ、自分たちが知っている曲を一緒に楽しめる相手がいると嬉しいのである。

今日はそんな話をしながら、覚えておくとわりと場が和む曲をいくつか紹介してみたい。

結局ウケるのは難しい曲じゃない

昭和の曲が好きなおじさんが多いと聞くと、「何か演歌を覚えなきゃいけないのかな」と思う人もいるかもしれない。

でも実際はそこまで気負わなくていい。

スナックで見ている限り、本当にウケるのはマニアックな曲ではない。むしろ誰でも知っているような定番曲の方が強い。

たまに若い子がお客さんに合わせようとして、聞いたこともない昔の曲を必死に練習してくることがある。

もちろんその努力は立派だと思う。ただ、実際の現場で盛り上がるのはそういう曲ではなかったりする。

おじさんたちが求めているのは、「こんな曲まで知ってるのか!」という驚きよりも、「その曲知ってるんだ!」という親近感なのだ。

少し考えてみれば当たり前の話かもしれない。人は自分の知識を披露された時より、自分の好きなものを共有できた時の方が嬉しい。

だから選曲で大事なのはレア度ではない。共通言語になれるかどうかだ。

サビを一緒に歌えることが重要

店で働いていて気付いたことのひとつに、「おじさんたちは意外と歌を聴いていない」という事実がある。

もちろん全く聴いていないわけではない。ただ、ライブ会場のお客さんみたいに静かに耳を傾けているわけでもない。どちらかというと、一緒に参加したいのである。

だからカラオケで本当に強いのは、歌唱力が必要な曲ではない。サビが来たらみんなが口ずさめる曲だ。

誰かが歌い始めて、周りが自然に手拍子をしたり、一緒に歌ったりできる曲はとにかく強い。

逆に、どれだけ上手くても誰も知らない曲は盛り上がりにくい。

カラオケは音楽鑑賞ではなく、半分くらいはコミュニケーションだからだ。

そう考えると、「歌が上手い人が勝つゲーム」ではなく、「みんなで楽しめる人が勝つゲーム」なのかもしれない。

若い人が昭和の曲を知っているだけで嬉しい理由

不思議なもので、おじさんたちは若い人が昭和の曲を知っているだけでかなり喜ぶ。

それが名曲だからという理由だけではない気がする。

おそらくそこには、自分の青春時代を認めてもらえたような感覚があるのだと思う。

誰にでも、人生で一番音楽を聴いていた時期がある。

初めて付き合った人と聴いた曲だったり、友達と夜中までカラオケで歌った曲だったり、車の中で何度も流した曲だったりする。

そういう曲は、音楽というより思い出そのものになっている。

だから若い人がその曲を知っていると、「自分の青春もまだ終わっていない」と感じるのかもしれない。

少し大げさに聞こえるかもしれないが、店でお客さんを見ているとそんな気がする瞬間がある。

とりあえず覚えておくと強い曲たち

男性編

田園/玉置浩二

イントロから勢いがあり、とにかく盛り上がるまでが早い。アップテンポなので手拍子も入りやすく、場の空気を作りたい時に強い一曲だ。

勝手にシンドバッド/サザンオールスターズ

困ったらこれ。歌詞が多少怪しくても勢いで成立するし、知っている人も多い。酔いが回った時間帯ほど真価を発揮する。

TRUE LOVE/藤井フミヤ

しっとり系ならこの曲。サビを知っている人が多く、世代を問わず反応が良い。騒ぐというより「お、いい選曲だね」という空気になりやすい。

女性編

青い珊瑚礁/松田聖子

松田聖子はやはり強い。特にこの曲は知名度が高く、イントロだけで反応するおじさんも多い。若い人が歌うとそれだけで喜ばれることがある。

異邦人/久保田早紀

昭和の名曲として知名度が高く、世代を超えて愛されている一曲。派手さはないが、知っていると「おっ」と思われやすい。

M/プリンセス プリンセス

失恋ソングの定番。特に50代前後のお客さんには刺さることが多く、歌い終わった後に昔話が始まる確率も高い。

デュエット編

ロンリー・チャップリン/鈴木聖美 with Rats & Star

デュエット曲の定番中の定番。男性ならハモリパートを覚えておくとかなり重宝される。主旋律よりもむしろそちらが喜ばれることもある。

愛が生まれた日/藤谷美和子・大内義昭

スナックで最も遭遇率が高いデュエット曲かもしれない。難易度もそれほど高くなく、初対面同士でも歌いやすいのが強みだ。

夏の終わりのハーモニー/井上陽水・安全地帯

しっとり系デュエットの代表格。盛り上がるというより聴かせるタイプだが、知っている人同士で歌うとかなり雰囲気が出る。

本当に機嫌が良くなるのは曲よりリアクション

ここまで曲を紹介してきたが、実は一番大事なのは曲そのものではない。

リアクションだ。

誰かが歌ったら拍手をする。知っている曲なら少し一緒に歌う。知らなくても「その曲いいですね」と言う。

結局、おじさんたちが喜んでいるのは歌を評価されたからではない。自分が好きだったものに興味を持ってもらえたからだ。

これは別におじさんに限った話ではない。誰だって、自分の好きな映画や音楽や趣味に少しでも関心を示してもらえたら嬉しい。

ただ、おじさんたちは人生経験が長いぶん、その「好きだったもの」が積み重なっている。だから反応も少し大きくなる。

スナックで働いていて思うのは、人の機嫌を良くする方法は意外と単純だということだ。

無理に持ち上げる必要もない。お世辞を言う必要もない。

ただ少しだけ、一緒に楽しむこと。

カラオケでおじさんの機嫌が良くなるのも、結局はその延長線上にあるのだと思う。